賃貸事例比較法

1.意義

継続賃貸事例×事情補正×時点修正×標準化補正×地域要因×個別的要因

 

事例の収集及び選択にあたっての留意事項

賃貸借等の契約の内容について類似性を有するものを選択すべきである。 

2.成立根拠

現実の市場における賃貸事例から求める手法であり、実証的である。


3.キーポイント

事例収集の困難性、個別的要因比較の困難性


継続賃貸事例は新規賃貸事例と異なり、一定の期間続いている当事者間の事情があるので公表されるものは少ないし、当事者に聴取してもそうそう教えてくれない。仮りに収集できたとしても継続にかかわる事情、例えば契約締結に至った事情、契約締結時の賃料、過去の賃料改定時の賃料等の推移などはわからないことが多い。類似の事例の収集は困難をともなう。

事例が収集できれば、次に収集した事例を比較検討して対象不動産の比準賃料を求めることになるが、契約締結に至った事情、契約の内容、契約締結から今日までの事情等々個別的要因の比較が大変難しい。


<継続賃料水準の把握>
 

上記のとおり、適切な事例の収集ができなくて、賃貸事例比較法の適用は困難だからといっても全く諦めるというのも残念である。適用はできなくても賃貸事例を収集することで継続賃料の水準を把握することができる場合がある。

賃貸事例の収集ができないことがあっても、地元の業者やその他の地元精通者から聴取しておおよその賃料水準を把握することができる場合がある。

継続賃料水準を把握することは、継続賃料の評価を行なうにあたって大いに参考になる。

このようにいうのは継続賃料の評価手法のほかの3手法は理論的な側面があるのに対し、この手法はずばり直接、市場から水準を探るという方法だからである。当事者や裁判所が納得しやすいのである

 

<事例の収集>
 

継続事例は新規事例より一段と収集が困難である。

地元の不動産業者やオフィス仲介業者等から聞き込みをすることが考えられるが、まず教えてくれないといってよい。それでも親しい関係者の紹介を使うなどしてアプローチするとまれにではあるが教えてくれることがあったりする。地代についていえば扱っているのは地元の不動産業者でも地元と長年の付き合いで面倒をみている古くからの業者で、彼等は地主の信頼を損なわないために教えようとしない。

レインズ等の取引事例や公的評価で収集した事例の中から継続賃貸情報を収集。不動産競売評価書(インターネットBITで検索)の中に記載されている情報から収集。なお地代については、不動産調査会が不動産競売情報をまとめて有料で公表している。

事務所ビルや大型店舗や物流施設等をJ−REITから収集。

その他いろいろな方法で収集に努めることになる。

【コラム】

1階店舗家賃評価で、差額配分法と賃貸事例比較法を中心に評価したことがあったが、1棟ビル売り物件のなかから適切な店舗継続家賃の事例を収集できたことがあった。 

 

現行賃料       月額 〇〇円         新規賃料水準 月額1.4×〇〇円

差額配分法    月額 1.2×〇〇円

利回り法     月額 1.07×〇〇円

スライド法    月額 1.09×〇〇円

賃貸事例比較法  月額 1.21×〇〇円

 

依頼者の賃貸人は賃料を値上げしたいと言ってきた。現行賃料は新規賃料水準より約71%と相当に低い。しかし、この現行賃料は1年5ヶ月前に値上げされたばかりの合意賃料であり、合意されてから間もないのに、再び賃料の値上げが認められるか、それが最大の論点と考えた。

合意賃料は、その合意した背景に当事者間で争いがあるところであったが、合意は合意として尊重するのか。それとも合意賃料は、合意した当時の新規賃料水準より約76%程度で、そもそも低いので、合意にあまり縛られないで考えるのか。

利回り法、スライド法は、低い合意賃料を前提として試算されたもので、求められた試算賃料は低いものとなった。

これに対し差額配分法は、現行賃料に、新規賃料と現行賃料の差額の1/2を配分したので、新規賃料水準に近づく。

また賃貸事例比較法でも、収集できた3事例から新規賃料水準に近いものが求められた。継続賃貸の事例は特定当事者間の賃貸借における賃料なので、事例の収集はきわめて困難であるが、たまたま、本件では周辺でビル1棟の売り物件が2棟あり、その中から同じ用途で同じ1階の店舗の継続賃料が3事例収集できた。

継続賃料は、将来において新規の賃料水準にもっていくことが、当事者間の衡平にかなうことと考えて、差額配分法と賃貸事例比較法を中心に継続家賃を求めたが・・・。

 

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