継続賃料に係る不動産鑑定評価基準の改正(平成26年11月1日から適用)

・継続賃料については、平成15年以降の最高裁判例8件とそれ以降の下級審判例を踏まえて、大幅な改正が行われた。

・継続賃料は相当賃料(借地借家法11条又は32条に基づき規定された諸要因、その他の事情(最高裁判所の判断枠組みの考慮)を考慮した適正な賃料)と同義とし、大要、以下のとおり改正された。

・継続賃料評価は、直近合意時点における現行賃料と価格時点における正常賃料との間に発生した差額を考慮することから、継続賃料は基本的には現行賃料と価格時点における正常賃料の間で決定される。

・一般的留意事項として、継続賃料の鑑定評価額は、直近合意時点から価格時点までの「事情変更」のほか、契約内容、契約締結の経緯、賃料改定の経緯等の「諸般の事情」を挙げ、これらを総合的に勘案し、契約当事者間の公平(衡平)に留意のうえ決定することが規定された。

直近合意時点とは契約当事者間で現行賃料を合意し、それを適用した時点と定義され

(契約締結時から直近合意時点まで) 諸般の事情

私的自治の原則、契約自由の原則が働く間の事情として、契約締結の経緯、契約内容、賃料改定の経緯、賃貸人等又は賃借人等の近隣地域の発展に対する寄与度が「諸般の事情」として例示され

(直近合意時点から価格時点まで) 事情の変更

 経済的事情

近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における宅地の賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料の推移及び改定の程度

土地価格、土地及び建物価格の推移

公租公課の推移

諸般の事情(契約締結の経緯、契約内容、賃貸人等又は賃借人等の近隣地域の発展に対する寄与度)に係る要因のうち、直近合意時点から価格時点までの期間の変動に係るもの(恣意的な契約関係の解消など)

以上が「事情の変更」として例示され

諸般の事情」と「事情の変更」が継続賃料固有の価格形成要因として規定された。

・そして継続賃料評価の各手法において

 継続賃料固有の価格形成要因(事情の変更、諸般の事情)が反映するように各手法の適用方法に盛りこまれた。

・また「総合的勘案事項」が整理・拡充され

直近合意時点及び価格時点における新規賃料と現行賃料の乖離の程度、契約上の経過期間及び直近合意時点から価格時点までの経過期間が追加され、これら総合的勘案事項は「調整の決定」の段階だけでなく、評価全般において考慮すべきとされた。

・価格時点における正常賃料については

 「新規賃料固有の価格形成要因」が新たに規定された。

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