都心近郊の大規模住宅団地の値崩れ現象 −何を意味するのか−

東急柏ビレジ(千葉県柏市内)

東急不動産が昭和54年に開発完了、昭和55年に販売開始、平成2年にほぼ完売。その後一部追加造成・販売がある。

開発当初 約1,500戸。現在 約1,600戸。

・特徴

バス便     JR常磐線北柏駅から3.6㎞〜5㎞

        TX線柏の葉キャンパス駅から1.5㎞〜3㎞

1区画が大きい 1区画が55坪前後が中心

        建築協定により170㎡(51.4坪)以上

住んでいる人  70才以上の高齢者が多い

住環境     良好

・平成20年、21年に大幅な値崩れ現象が生じた

中古の売出し物件が30戸近く出て、なかなか売れず1年間滞留した。

この間、地価公示では東急柏ビレジに2地点があり、平成20年1月1日から平成21年1月1日まで年率−6〜−6.6%、平成21年1月1日から平成22年1月1日まで年率−5.3%〜−5.5%の下落を示し、以降−4%弱から−2%の下落が続いている。下落率は、中古住宅における土地、建物内訳としての土地価格をどのようにみるかによって異なってくるが、私自身は平成20年は−10%以上の下落ではなかったかとおもっている。

・値崩れ現象の原因は

供給 高齢者が、柏、柏の葉キャンパス等の駅近のマンション、都心マンションに移動。なかに地方に帰る者もいる。これによって中古物件が市場に出てきた。

需要 需要者層の中心は年収400万〜500万の30才〜40才前半の一次取得者層であるが、彼等は柏ビレジに興味を示さず敬遠しがちである。

以上から中古物件が市場に出まわったが、買手がなかなかみつからない状況が続いた。

・値崩れ現象をどうみるか

昭和50年、60年代は「団塊の世代」を中心に、彼等が通勤に都心から1時間半から2時間近くかけても「郊外の庭つき住宅」を求めた。平日は残業に残業で、楽しみは休日の一家団欒、庭いじりであった。

これに対し、現代は楽しみは多種多様であり、便利なところにお金を分散させる。30才〜40才前半の求める戸建住宅は、凡そつぎのとおりである。

  1.  利便性のよいところ。駅から歩けるところ。徒歩10分以内、ギリギリ15分以内。駅も都心に便利な駅。
  2. 土地は広い必要はない。30坪〜40坪でかまわないが、駐車場スペースは欲しい。広い土地で庭いじりをすることは避けたい。共稼ぎであれば、庭いじりする時間は作れない。
  3. 住環境はほどほどでかまわない。住宅は自分達一代限り、子供に残すことまで考えない。

大幅な値崩れ現象が生じたときの中古住宅は築26年もので2,000万前後、築16年もので2,500万〜2,800万で年収400〜500万の一時取得者が購入できない価格ではなかったが、バス便で55坪前後の庭つき中古住宅には興味を示さないはずで、30戸近くの中古住宅がなかなかさばけなかったのである。

大規模住宅団地の値崩れ現象は東急柏ビレジばかりではない

松戸市内の小金原団地(旧住宅公団が45年前に開発。JR常磐線北小金駅バス便、1区画が70坪強(最低敷地制限なし)、高齢者が多い)。

小金原団地に隣接する柏市内の西山団地(小田急不動産が50年前に開発。JR常磐線北小金駅バス便、1区画が50坪中心、高齢者が多い)。

流山市内の江戸川台住宅地(千葉県住宅供給公社が開発。東武野田線江戸川台駅徒歩便、1区画が80〜100坪が多い(一部地区計画165㎡以上)、高齢者が多い)。

といったところは、いずれもバス便か又は徒歩便でも私鉄沿線で都心から遠く離れていて利便性が劣り、1つの区画が大きく、住民は高齢者が多い。

いずれも平成20年頃から大幅な値崩れ現象が起きている。

大規模住宅団地は今後どうなっていくのか

住宅を求める第一次取得者層がバス便や広い土地を求めようとしない傾向が今後とも続くのであれば、大規模住宅団地は寂れていくことになろう。土地の価格も安くなっていくことになろう。現に松戸や柏や流山より都心からもっと離れたJR成田線沿線の瑞穂ニュータウン(下総神崎駅2.8㎞内外)、ウッドパーク四季の丘(下総神崎駅1.9㎞内外)等々といったところでは、この傾向が顕著である。

これは、日本全体を見渡して、東京に人が集中し、地方が過疎化していく現象と似ていないか。

地方の街興しで地方に魅力が出て人が戻ってくるところをテレビで放映されたのを見たことがあるが、大規模住宅団地でも環境が見直され、コミュニティの良さが創出されてくれば、寂れていく流れに歯止めもかかるかもしれないが・・・。

大規模住宅団地の値崩れ現象

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
047-394-8233

受付時間:9:00~17:00
定休日:土日祝日

東京圏内の継続賃料評価・相続税評価に明るい不動産鑑定士事務所をお探しなら、千葉県松戸市の都市コンサルトへご相談ください。
事務所ビル、商業ビル、物流施設、病院、店舗、住宅などの家賃や地代ならびに相続税節税のための評価を得意とする事務所です。
地元・千葉県を中心に、東京都、神奈川県、埼玉県などへお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

対応エリア
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県

お問合せ受付中

お電話でのお問合せ

047-394-8233

お問合せはお気軽にどうぞ
<受付時間>
9:00~17:00
※土日祝日は除く

  • 継続賃料評価にあたって
    知っておきたいこと

  • 賃料コンサルティング

  • 平成31年、令和2、3、4、5、6年地価公示の概要

  • 都市コンサルトについて

  • サービス案内

ごあいさつ

先生写真縦.jpg

代表の中西です。親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。

有限会社 都市コンサルト

住所

〒271-0077
千葉県松戸市根本8-15
高木ビル605

受付時間

9:00~17:00

定休日

土日祝日

営業エリア

東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県