大家さんは家賃の値上げをしたいのだが、どうすればよいか?

周辺の家賃水準は上昇しているのに、家賃が長い間据え置かれたとか、値上げしてもわずかであった等々の事情で、いつの間にか現行家賃が周辺の家賃水準より許容範囲を超えて低くなってしまっている。

この場合、大家としては周辺の家賃水準並みに或いはそれに近い水準までに家賃を値上げしたいと思います。借主が大家の値上げに応じれば問題はありませんが、実際のところ値上げに応じないのが普通でしょう。

大家が家賃値上げするにはどうしたらよいのでしょうか。

そのほかにも、借主の家賃の値下げに対して、大家は家賃の値上げまでもいかなくても、値下げには応じられないか、仮に応じても小幅にとどめたいということで、大家と借主が衝突することがあります。この場合借主は企業で経営状態が思わしくなくなったことが、背景としてあります。

現状の周辺家賃水準(新規賃料)の把握

大家が家賃の値上げ交渉をする場合、まず周辺の家賃水準の適正な把握からはじめることになります。今、新しく貸せれば家賃はいくらになるか、です。

家主は周辺家賃水準を調査し、その結果、周辺家賃水準が現行家賃より高いことがわかれば、現行家賃を周辺家賃水準並みに或いは少なくともそれに近い家賃まで引き上げて欲しい、ということになります。

大家は現行家賃より周辺家賃水準がかなり高くなっていることは不動産屋の店頭広告などで解っています。しかし、借主と交渉するには客観的な資料などで周辺家賃が高くなったことを示し、借主を説得しなければなりません。

周辺家賃水準は、成約家賃事例や、募集家賃事例によって求めることになりますが、実際に事例を現地で見ることは欠かせません。また地元不動産業者へのヒアリングも大切です。

ところで、周辺家賃水準を高く捉えれば家主に有利に働くし、低く捉えれば借主有利に働くので、家賃水準をどのように見るかで大家と借主の利害は衝突します。

なので、周辺家賃水準をどう捉えるかは、大家が借主に家賃交渉をするうえで最初の難関となります。この点は意外と見落としがちなところです。

周辺家賃相場の把握は易しそうにみえますが、なかなか難儀です。

借主を説得できるか、訴訟までいって裁判所を説得できるか。

差額の配分

さて、家主と借主の間で周辺家賃水準の共通認識ができたとして、その周辺家賃水準と現行家賃との差額をどう埋めていくかがつぎの問題になり、2番目の難関です。

家主としては差額(上昇分)を全部埋めて、いっきに周辺家賃水準まで値上げしたい。

借主としては、現状の低い賃料でよいので、差額分をそのままにして賃料は据え置きにしたい。

家主と借主双方が納得するためには、差額を1/2で双方に分配することになるのでしょうか。

それも一つの有力な考え方です。当事者が納得すればそれはそれで解決したことになります。

ところで、現行家賃に至るまでには、賃貸借契約締結時点から時間が経過しており、その間、経済事情の変動や家主と借主との賃料改定交渉やいろいろな事情が存在します。

それだけでなく、契約締結時の契約の内容だってオーダーメイド等特別な形態のものもあります。

家主としては、これらの事情のうち、自分に有利な事情を取り上げて差額(上昇分)を自分に配分し、賃料の値上げをしたいところです。

不動産鑑定評価基準では、以下のことを総合的に考慮して当事者間に差額を公平に分配せよとしています。

直近合意時点から価格時点まで(事情の変更)

土地及び建物価格の推移、公租公課の推移

周辺地域の家賃の推移及び改定の程度 

直近合意時点及び価格時点における新規賃料と現行賃料との乖離の程度

契約締結時から直近合意時点(諸般の事情)

契約締結の経緯

契約内容

賃料改定の経緯

賃貸人等又は賃借人等の近隣地域の発展に対する寄与度

契約上の経過期間及び直近合意時点から価格時点までの経過期間

当ホームページの

<継続賃料に係る評価基準の改正 平成26年11月1日から適用 参照>

以上は、不動産鑑定評価基準の継続賃料の評価手法のうちの差額配分法の考え方に拠りました。そのほかにも鑑定評価には利回り法、スライド法、賃貸事例比較法があります。

当事者交渉、調停、裁判

大家は、借主と直接に家賃値上げの交渉を行います。

周辺家賃水準、賃料差額の配分、いずれも借主の同意を得られれば、家賃の値上げは目出度く成立します。

しかし、実際はなかなかうまくいきません。

いきおい、費用対効果を考えたうえでの話ですが、弁護士に依頼することが多くなります。そうすると調停、裁判という手続きを踏むことになります。

ところで家賃訴訟では、不動産鑑定評価書が使われることが多いです。この場合、大家側も借主側も双方とも不動産鑑定評価書を提出することもまれではありません。そこでは鑑定評価書合戦が繰り広げられます。

どうしても解決できないときは、裁判所が当事者の諒解を得て、裁判所採用の不動産鑑定士による鑑定評価書を出すこともあります。

1つの事件で鑑定評価書が3本登場するわけです。

いずれにしても調停、裁判を通じて、家賃の値上げに関する何らかの判決が下され、問題は収束することになります。

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
047-394-8233

受付時間:9:00~17:00
定休日:土日祝日

東京圏内の継続賃料評価・相続税評価に明るい不動産鑑定士事務所をお探しなら、千葉県松戸市の都市コンサルトへご相談ください。
事務所ビル、商業ビル、物流施設、病院、店舗、住宅などの家賃や地代ならびに相続税節税のための評価を得意とする事務所です。
地元・千葉県を中心に、東京都、神奈川県、埼玉県などへお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

対応エリア
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県

お問合せ受付中

お電話でのお問合せ

047-394-8233

お問合せはお気軽にどうぞ
<受付時間>
9:00~17:00
※土日祝日は除く

  • 継続賃料評価にあたって
    知っておきたいこと

  • 賃料コンサルティング

  • 平成31年、令和2、3、4、5、6年地価公示の概要

  • 都市コンサルトについて

  • サービス案内

ごあいさつ

先生写真縦.jpg

代表の中西です。親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。

有限会社 都市コンサルト

住所

〒271-0077
千葉県松戸市根本8-15
高木ビル605

受付時間

9:00~17:00

定休日

土日祝日

営業エリア

東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県